ひとりの時間
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一人で外食できない50代。57歳の私が、はじめてカウンターに座った日

喫茶店の窓辺で、ひとりでお茶を飲む女性
kuroko

用事の帰り、駅前の時計は十二時十分を指していました。

お腹は空いています。

それなのに私は、電車に乗って家に帰り、冷蔵庫の残りものを立ったまま食べました。

五十七歳の、ある水曜日のことです。

入れない理由は、三つありました

ひとりで店に入れない理由を、自分でも考えたことがあります。

ひとつめは、人の目です。

「この年で、ひとりでごはんを食べている人」と思われるのが、どうしても嫌でした。

ふたつめは、店の人への気兼ねです。

昼の混む時間に、ひとりで四人がけの席に座るのは申し訳ない。

みっつめは、荷物です。

いつも持ち歩いているバッグが大きくて、どこに置けばいいのか分かりません。

椅子の背もたれに掛けると、通る人の邪魔になります。

足元に置くと、床が気になります。

そんなことを考えているうちに、いつも店の前を通り過ぎていました。

貼り紙と、カウンターの女性

秋のはじめに、駅の近くの喫茶店に貼り紙が出ました。

「長らくのご愛顧、ありがとうございました」

友人と「いつか行こうね」と話していた店でした。

十年、そう言い続けていたことに、そのとき気づきました。

その隣の通りに、小さな店があります。

外から見ると、カウンターに同じ年ごろの女性が座っていました。

文庫本を開いて、コーヒーを飲んでいます。

誰も、その人を見ていませんでした。

私が思っていたほど、人は他人を見ていないのかもしれない。

そう思いました。

開店してすぐの時間なら

次の週、私はその店に行ってみることにしました。

選んだのは、開店してすぐの十一時です。

混む時間を外せば、席のことも気にならないと思ったからです。

もうひとつ、荷物の問題も片付けました。

大きなバッグはやめて、膝の上に置ける小さいものにしました。

条件は三つです。

財布と文庫本が入ること。

肩から斜めに掛けられること。

雨の日でも気にならないこと。

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それから、文庫本を一冊持っていくことにしました。

手持ち無沙汰になったときに、下を向ける場所がほしかったからです。

表紙を見られるのが少し恥ずかしかったので、布のカバーを掛けました。

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十一時の店には、三人しかいなかった

当日、店にはお客さんが三人しかいませんでした。

カウンターの端に座り、日替わりを頼みました。

待つ間、文庫本を開きました。

三ページ読んだところで、料理が来ました。

結局、本はほとんど読みませんでした。

味噌汁が温かくて、おかずが四品ありました。

家で立ったまま食べるものとは、違いました。

食べ終わって、二十分でした。

誰も私を見ていませんでした。

三度目に、言われたこと

それから、月に二度ほど行くようになりました。

三度目に行ったとき、店の人に言われました。

「カウンターの端、空いてますよ」

私がいつも座る席を、覚えていてくれたのです。

名前も知りませんし、世間話もしません。

けれど、店に入るときの緊張が、その日からなくなりました。

夫は、今も気づいていません

夫は、私が昼にひとりで外食していることを知りません。

話していないからです。

隠しているわけではなく、言うほどのことでもない気がしています。

友人と行く食事は、今も楽しみです。

そこにひとつ、「ひとりで行く昼」が増えただけです。

十年言い続けて行けなかった喫茶店のことは、今も少し悔やんでいます。

だから今は、「いつか行こう」と思った店には、なるべく早く行くようにしています。

あなたなら、どうしますか?

もし来週、ひとりでお昼を食べるとしたら、何時に、どんな店を選びますか。

そして、「いつか行こう」と思ったまま、まだ行っていない店はありませんか。

今週、ひとつだけ決めるなら

ひとつで十分です。決めた日を、カレンダーに書いてみてください。

この物語から、考えたいこと

1. 入れない理由は、たいてい三つに分かれる

人の目、店への気兼ね、荷物や席の心配。

このうち、荷物と時間帯は、自分で変えられます。

まず変えられるところから外していくと、残った不安が小さくなります。

2. 時間帯を変えるだけで、店の雰囲気は変わる

開店してすぐや、昼の混雑を過ぎた時間は、席にも余裕があります。

同じ店でも、時間が違えば別の場所のように感じられることがあります。

3. 「いつか行こう」には、期限がない

十年言い続けても、店は待ってくれません。

行きたい店の名前を、ひとつだけ紙に書いておくと、次に近くを通ったときに思い出せます。

振り返りチェック

当てはまるものに、印をつけてみてください。診断ではありません。自分を振り返るためのものです。

印をつけた数:

数が多くても少なくても、良い・悪いはありません。

この物語に登場したもの

ここから下は物語ではなく、物語に出てきた道具の情報です。主人公が選んだときの条件(膝に置ける大きさ・斜めがけ・雨に強い/文庫本にかけられる)に合う商品の一例で、登場人物が実際に使ったものではありません。販売ページやメーカーの記載にもとづく事実だけを載せています。

小さめのショルダーバッグ

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  • ブランド:アネロ グランデ(anello GRANDE)
  • 販売ページの記載:重量260g・タテ23×ヨコ36×マチ13cm
  • 販売ページの記載:ポケット9(外側5・内側4)・ショルダー全長122cm・撥水
  • 選ぶときは、重さ・斜めがけの長さ・ポケットの数・雨に強いかを見ると選びやすくなります。

文庫本のブックカバー

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  • 販売ページの記載:開いた状態で横30×高さ15.5cm
  • 販売ページの記載:文庫本の見開き23.5cm程度まで・本の厚み約2cmまで対応
  • 販売ページの記載:綿100%・日本製・栞紐つき

※価格は変動するため、最新の価格は販売ページでご確認ください。

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この記事について

※この記事には広告(アフィリエイトリンク)を含みます。
※このお話は、実際に寄せられている相談や声を参考に、物語として再構成しています。登場人物・出来事は実在のものではありません。
※記事中の写真はイメージです。

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