60代、一人旅の勇気が出ない。64歳の私が最初に選んだのは、電車で一時間の町でした
行きたい場所の名前は、ずっと前から決まっていました。
決まっていなかったのは、誰と行くかです。
六十四歳。旅行はいつも、夫か友人と一緒でした。
私が行きたい場所ではなく、二人で行ける場所を選んできました。
三回、流れました
去年の秋、友人と行くはずだった旅行が流れました。
先方の家の事情で、日にちが合わなくなったのです。
同じことが、その一年で三回ありました。
そのたびに私は「また今度ね」と返していました。
また今度が、いつになるかは誰にも分かりません。
ひとりで行けばいい、とは思いました。
でも、思っただけで止まってしまうのです。
道に迷ったら。具合が悪くなったら。
食事のとき、ひとりで席に座る自分を想像すると、それだけで気が重くなりました。
知人からの葉書
年賀状のやりとりだけ続いている、昔の同僚がいます。
その人から、旅先の写真がついた葉書が届きました。
八十歳近い方です。
文面はこれだけでした。
「ひとりだと、帰る時間も自分で決められます」
帰る時間を、自分で決める。
そんなことを、私はもう何十年もしていませんでした。
いきなり遠くへは行かない
私が最初に決めたのは、行き先ではなく条件でした。
電車で一時間以内。
乗り換えは一回まで。
日帰りでも帰れる場所に、一泊する。
選んだのは、川沿いに古い商店街がある町でした。
有名な観光地ではありません。
「失敗しても、電車に乗れば帰れる」
その安心があったから、決められたのだと思います。
荷物は、ひとつにまとめた
一泊なのに、荷物が決まりませんでした。
いつもは夫と共用の大きなバッグに、二人分を詰めていました。
自分の分だけを、自分で持つ。
それが初めてだったのです。
決めた条件は三つです。
軽いこと。
雨が降っても平気なこと。
肩と手の両方で持てること。
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詰めたのは、着替えと薬と本が一冊。
それだけで、思ったより軽く収まりました。
一日目の、静かな時間
町に着いたのは午前十一時でした。
商店街を端から端まで歩いて、三十分で終わりました。
することがなくなって、川沿いのベンチに座りました。
三十分、ただ座っていました。
誰にも「次はどこ行く?」と聞かれない時間が、こんなに静かだとは思いませんでした。
夕方、宿の近くの定食屋に入りました。
カウンターに座って、日替わりを頼みました。
隣の席の女性が、私の荷物を見て「旅行ですか」と声をかけてくれました。
それだけの会話でしたが、その日いちばんよく覚えています。
帰りの電車で決めたこと
翌日、宿を出たのは十時でした。
観光案内所で地図をもらい、教えてもらった小さな寺をひとつだけ見て帰りました。
帰りの電車の中で、次の行き先を決めました。
今度は、乗り換え二回まで。
そうやって、少しずつ遠くしていけばいいのだと思っています。
夫には「楽しかった?」とだけ聞かれました。
「うん」と答えました。
それ以上は、まだうまく言葉になりません。
あなたなら、どうしますか?
もし電車で一時間以内の町へ、ひとりで行くとしたら、どこを選びますか。
そして、その日の予定を三つだけ決めるとしたら、何を入れますか。
今週、ひとつだけ決めるなら
ひとつで十分です。決めた日を、カレンダーに書いてみてください。
この物語から、考えたいこと
1. 「勇気」ではなく「条件」から決める
行き先を先に決めると、不安が大きくなります。
「電車で一時間以内」「乗り換え一回まで」のように、引き返せる条件から決めると、決心の量が減ります。
2. 予定は三つまでにしておく
ひとりの旅は、決める回数が多くなります。
朝いちばんに三つだけ決めて、あとは決めない。
疲れたら帰る、も立派な予定です。
3. 荷物は自分で持てる量に
誰かに持ってもらう前提でいると、荷物は増えます。
自分ひとりで持てる量が、そのまま自由に動ける範囲になります。
振り返りチェック
当てはまるものに、印をつけてみてください。診断ではありません。自分を振り返るためのものです。
印をつけた数:
数が多くても少なくても、良い・悪いはありません。
この物語に登場したもの
ここから下は物語ではなく、物語に出てきた道具の情報です。主人公が選んだときの条件(軽い・雨に強い・肩と手の両方で持てる)に合う商品の一例で、登場人物が実際に使ったものではありません。販売ページやメーカーの記載にもとづく事実だけを載せています。
軽いボストンバッグ(一泊用)
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- 販売ページの記載:重さ650g・容量30L
- 販売ページの記載:手持ち/肩掛け/ショルダー/リュック/キャリーオンの5通りの持ち方
- 販売ページの記載:防水ポケット付き
- 選ぶときは、重さ・容量・持ち方の種類・雨に強いかを見ると選びやすくなります。
※価格は変動するため、最新の価格は販売ページでご確認ください。
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この記事について
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※このお話は、実際に寄せられている相談や声を参考に、物語として再構成しています。登場人物・出来事は実在のものではありません。
※記事中の写真はイメージです。